2025年6月10日
【第3回】リハビリをサボるとどうなる?〜慢性化を防ぐために大切な生活習慣と注意点〜

交通事故後に首や腰の痛みが続くと、「このまま治らないかもしれない」と感じることがあるかもしれません。最初のうちは安静にしていれば回復すると思っていた痛みも、次第に長引き、回復が遅れてしまうことがあります。実は、このようにリハビリをサボることが慢性痛の引き金となることが多いのです。
今回は、リハビリをサボることによるリスクと、それを防ぐために心掛けるべき生活習慣や注意点についてお話しします。
■ なぜリハビリをサボると慢性痛になるのか?
事故後の痛みや不調が改善しない原因の一つは、早期の回復を目指さず、リハビリをサボってしまうことです。リハビリが進まないと、次のような状態が生じやすくなります。
1. 筋肉や関節が固まる
長期間安静にしていると、痛みがある部分の筋肉が固まり、可動域が狭くなります。これが続くと、動かしにくい状態が定着してしまい、無理に動かすことが痛みを引き起こす原因となります。
2. 神経が過敏になる
痛みが続くことで、神経が過敏になり、些細な刺激でも痛みを強く感じるようになります。この神経過敏症は慢性化を引き起こす大きな要因です。
3. 運動不足で筋力が低下する
筋肉を使わないことで、筋力が低下し、体幹や姿勢を支える力が弱くなります。これにより、ちょっとした動作でも痛みを感じやすくなります。
■ 慢性化を防ぐための生活習慣とは?
リハビリをサボることなく、毎日継続的に行うことが重要です。特に、以下の生活習慣を守ることで、早期回復を目指せます。
🔹 1. 毎日の軽いストレッチ
事故後に痛みを感じる部分を無理なく動かすストレッチは、関節や筋肉を柔軟に保つためにとても大切です。適度な運動やストレッチが関節の可動域を広げ、回復を早めます。
🔹 2. 姿勢を意識する
長時間同じ姿勢を続けると、首や腰に負担がかかります。デスクワークや運転中に姿勢を意識し、定期的に休憩を取ることが重要です。座る姿勢を正しく保ち、定期的に体を動かすようにしましょう。
🔹 3. 自宅でできるセルフエクササイズの実施
当院では、事故後のリハビリプログラムを個別に作成し、自宅でも実施できるエクササイズを指導しています。特に軽い体幹トレーニングやストレッチを行うことで、筋力の低下を防ぎ、早期回復を助けます。
🔹 4. ストレスを減らすことも大切
痛みが続くと精神的に不安になることがありますが、過度なストレスは痛みを増幅させることがあります。リラックスする時間を持つことも、回復に欠かせません。
■ 無理せず、少しずつ活動を再開する
事故後のリハビリは、急激な運動を避け、少しずつ体を動かしていくことが重要です。急に激しい運動を始めると、痛みを引き起こす原因になりかねません。ここでは、リハビリの進行具合に合わせて、無理なく活動を再開するポイントをご紹介します。
🔹 1. 急性期は無理なく休むことが大切
最初の1週間は、炎症が強く出るため、無理をせず安静にしておくことが重要です。ただし、この期間でも全く動かさないのではなく、軽い首回しや腰のストレッチを行うとよいです。
🔹 2. 亜急性期は動かす範囲を広げる
1〜2週間後、炎症が治まった段階で軽い運動やストレッチを再開します。負荷の低い運動を少しずつ始め、痛みが出ない範囲で動かしていきます。
🔹 3. 回復期は生活復帰を目指してトレーニング
痛みが軽減し、日常生活で支障がなくなったら、筋力強化や体幹トレーニングを進めていきます。早期に普通の生活に戻るためには、この段階でのしっかりとしたリハビリが必要です。
■ リハビリの重要性を再認識しよう
リハビリをしっかり行わずにサボってしまうと、慢性痛に移行しやすいことがわかりました。早期のリハビリが回復を早め、痛みを繰り返さないために必要不可欠です。
痛みが続くと、「このまま治らないかもしれない」と感じることもあるかもしれませんが、リハビリを続けることで必ず改善の道が開けます。
✅ まとめ
- リハビリをサボることが慢性痛の原因に
- 軽いストレッチや姿勢改善が回復を助ける
- 無理せず少しずつ活動を再開して筋力を維持
- 定期的なリハビリと適切な運動が鍵
📝 次回予告(第4回)
「外傷性頚部症候群と外傷性腰部症候群の症状とは?」
事故後の痛みのメカニズムを解説します。