2025年6月4日
【第1回】交通事故後の「むち打ち」や腰の痛み…まず何をすべき?〜回復のカギは“正しい知識”と“初期対応”〜
交通事故のあと、「骨には異常がないと言われたけれど、首や腰が痛い…」
そんなお悩みを抱えて来院される方は少なくありません。
事故直後は緊張や興奮で痛みを感じにくいこともあり、翌日〜数日後に首や腰の不調が現れるケースもよくあります。こうした症状を適切にケアするためには、**事故後すぐの「初期対応」**がとても重要です。
本シリーズの第1回では、交通事故後に起こる症状の特徴と、回復を妨げる「避けたい行動」についてご紹介します。
■ なぜ、交通事故後に首や腰が痛くなるの?
交通事故では、車の衝撃により身体に急激な加速・減速や捻転が加わります。そのため、以下のようなケガが起こりやすくなります。
- 頸部(首)の捻挫(いわゆる“むち打ち”)
- 腰部の捻挫・筋肉や関節の損傷
- 打撲による筋膜の癒着や炎症
- 自律神経の不調による頭痛・めまい・吐き気
これらは画像検査では「異常なし」と診断されることも多いですが、それは「骨や関節が壊れていない」という意味であり、痛みや不調の原因がないということではありません。
筋肉や靱帯、関節包(関節を包む袋状の組織)、神経などの**「軟部組織の損傷」**は、レントゲンやCTでは映らないことがほとんどなのです。
■ 痛みを軽く見るのは危険!「初期対応」が大切な理由
事故後の痛みは、正しい対応をすれば早期に回復することが多い反面、対応を誤ると慢性化するリスクもあります。
☑「様子を見よう」と何日も放置する
☑ 痛みがあるのに無理に仕事や家事を続ける
☑ 自己判断で湿布やマッサージに頼りすぎる
こうした行動が、かえって回復を遅らせる原因になることがあります。
また、早期に医療機関を受診しないと**「事故との因果関係が認められない」**と判断され、保険適用されなくなることも。まずは整形外科や接骨院などで身体の状態を確認し、適切なリハビリをスタートすることが大切です。
■ 実はやってはいけない「NG行動」とは?
回復を妨げるNG対応には、以下のようなものがあります。
❌ 長期間のコルセット・カラーの装着
コルセットなどの装具は、急性期(1週間程度)には役立ちますが、長く使用すると筋力の低下や可動域の制限を招き、かえって回復が遅れます。
❌ 強いマッサージやストレッチ
「凝っているから」と強い刺激を加えると、炎症を悪化させたり、神経を圧迫するリスクがあります。急性期は優しく触れる程度の施術が基本です。
❌ 安静にしすぎる
「動かすと悪化しそう」と考えて寝たきりでいると、関節や筋肉が固まり、痛みが強くなることがあります。安全に動かす範囲で、少しずつ日常動作に戻していくことが大切です。
■ 「痛みを理解してくれる場所」で相談しよう
事故後の痛みや不調は、他人に理解されにくいことが多く、孤独や不安を感じる方も少なくありません。
当院では、国家資格を持つ施術者が医学的根拠に基づき、ひとり一人の症状に応じた施術を行っています。痛みの原因をわかりやすく説明し、必要なリハビリプランをご提案します。
「このまま痛みが続いたらどうしよう…」
そんな不安を抱えている方は、ぜひ早めにご相談ください。
✅ まとめ
- 交通事故後の痛みは、画像に映らなくても「本物」の症状です。
- 早期の対応と正しいリハビリが回復のカギ。
- 長すぎる安静や強い刺激はかえって逆効果。
- 不安を抱える前に、専門家に相談を。
📝 次回予告
第2回では、「動かすことで回復を早める」という最新のリハビリ科学についてご紹介します。